コメの価格低下、生産量の制限政策によってコメ農家の経営基盤が弱体化している。
9月26日日経オンラインは、
自治体が小麦の生産拡大に向けた農家支援策を展開している状況を伝えている。
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC25BGQ0V20C22A8000000/)
「新潟県は9月から県内数カ所で実証実験用の圃場を整備している。県農業普及指導センターが圃場で生育状況や収穫量を調べる。『初めて小麦を生産する農家もいる』(担当者)ため、品質や管理方法を確認して今後の生産拡大に役立てる」。
「福島県は政府の制度も活用し、小麦や大豆などへ切り替えるときに出す補助金を22年度から拡充している」。
三重県は小麦の販路開拓の支援を始めた。
「三重県は22年度に生産から加工、販売までのルート構築の強化に取り組む。もちもちした食感に仕上がる県産品種『あやひかり』などの特性を生かし、製麺業界と共同で新製品の開発を進める」。
「北海道では8月、道や製粉会社、ホクレン農業協同組合連合会などでつくる『北海道産麦コンソーシアム』が菓子用品種『北見95号』の普及を目指す方針を決定。北見95号を含めて今秋に種をまく23年産は、22年産比1割近くの増産を想定している」。
生産拡大や販路拡大に限らず、自治体の支援策は以下のように多岐にわたった総合的、戦略的な観点での策定が望まれる。
1. 輪作体系の導入 畑作穀物は輪作体型の導入が前提となる。従って小麦だけでなく、大豆、じゃがいも、トウモロコシ、そばなどの穀物に対する支援も同時に構築して行くことが必要だ
2. 品質規格の設定 小麦の品質規格は従来は外観の品質による等級づけによるものであった。パン用小麦の品質は外観もさることながら、蛋白含有率が最も大事な評価基準になる
3. 加工業者の誘致 小麦については製粉業者の県内誘致が行われれば安定した需要が継続的に提供できる。しかもフードマイレージの短縮の面からも経済効率の面からも一挙両得な施策となる。また製パン、製麺などの加工業者の育成策も同時に行われることが望ましい
4. 安定需要の提供 学校給食に県産小麦の使用を実現すれば安定需要を継続的に構築できる。またさらに給食の原材料を全て県産で賄うという目標を掲げれば他の穀物や野菜などの安定需要拡大につながる
5. 栽培技術指導 畑作穀物の栽培技術はほとんどの府県においては伝承されていない。栽培技術の集積を早急に進めて、自治体が栽培技術指導に自信を持ってあたれるようになることが望まれる
6. 水田の永久畑地化 水田を畑地に永久に転換することが望ましい。畑作穀物の栽培には乾燥した土壌によることが前提になる。水田での稲作を輪作体系に取り込むことが小麦栽培の実現には容易な方法ではあるが、水田を乾田にする手間を考えると乾田化の手間が周期的に必要になり長期的に考えると効率が落ちることになる。また水はけの悪い水田の畑地化には暗渠や名渠を備えることが必須条件になる。
以上の基本政策は水田の畑地化を推進する上での必須条件であり、これらの政策の上にコメから小麦、大豆、トウモロコシ、じゃがいもなどの畑作穀物への転換がスムーズに実現する道が拓けるはずだ。
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